Kampf Riesen Mars/REISEN-PANZERIV IV号人型重機





REISEN-PANZERIII III号

rp4_2 ドイツ製。製造はデマーグ社。
来るべき火星侵攻に備えてドイツ軍が開発した半装軌(はんそうき)式自走砲。

本土から遠く離れた火星上では兵員の数が著しく不足すると予想したドイツ軍は、Sd.kfz.250を製造していたデマーグ社にその派生型として極力少人数で運用できる新型戦闘車両の開発を指示した。

1941年から運用されていたSd.kfz.250は半装軌式の前輪に駆動機能がないため、東部戦線の泥濘地ではその機動力が極端に落ちてしまうと言う問題を抱えていた。そのため新型車両の開発にあたってドイツ陸軍は、前輪の駆動化を強くデマーグ社に要求した。これを受けたデマーグ社は基本的な足回りは既存のSd.kfz.250から流用する事とし、問題とされた前輪にはモーター駆動式の「中輪」を新たに追加すると言う意欲的な設計案を提出した。これは後輪駆動前輪操舵式による優れた操縦性に対するデマーグ社のこだわりの表われでもあった。「中輪」のタイヤをキューベルワーゲンから流用した事による性能的な不安はあったものの、デマーグ社の目論見は見事に当たり、東部戦線で欠陥品とまで言われたSd.kfz.250を優れた車台に生まれ変わらせることに成功した。

搭載砲に関してはIII号戦車と同じ37o砲を予定していたが、その威力不足は開発当初から指摘されていた。そこで、独ソ戦で鹵獲したソ連製76.2o対戦車砲(通称ラッチェバム)が大量に持ち込まれた事もあり、これに自動装填装置を組み合わせたものを搭載させる旨の指示が改めて兵器局から出されることとなった。この自動装填装置は先に述べた火星侵攻に備えた人員削減策の一環として、軍(の一部)がラインメタル社に開発させていたもので、火星侵攻を前提にしたマーダーには必須の装置であると言えた。ラッチェバムが採用されたことにより、車体上部のデザインはほぼ同じサイズの砲を搭載したアルケット社製「マーダーIII」対戦車自走砲と似通ったものとなり、実際、部品も多くが流用されている。

限定旋回も含めて砲の旋回機構はなく、操縦手が砲手を兼ねるような仕様になっていた。そのため、車長と合わせて基本的に2名で運用するように作られていたが、最悪の場合は操縦手一人での運用も可能であった。

遮蔽物の少ない火星での戦闘を想定して車高は極力低く抑えられており、砲の迎角も最大10°までしか確保されていない。そのため、立体的機動を行う敵の巨人兵器には極めて不利な戦闘を強いられる事が多く、実際の戦闘では味方の人型重機とペアになって攻撃にあたる戦術が多く取られていた。

rp4_3マーダーと言う名前は1943年になってアルケット社が製造した「マーダーIII」にヒトラーが初めて名付けたもので、デマーグ社製の新型戦車はその名前を「流用」してマーダーと呼ばれていただけである。開発当初は単に「Sd.kfz.250/T/R」と呼ばれていた。この名前の最後にある「R」は同じく対火星人用に開発された人型重機「Riesen Panzer」の頭文字をとったもので、この自走砲が対火星用に開発されたものであることを暗に示していた。実際、同系列であるSd.kfz.250やマーダー自走砲などのシリーズが次々に戦線に投入さて行く中にあって、このマーダーT/250/Rは一部の部隊を除いて全く配備すらされていなかった。そのため公式の戦闘記録にもほとんど登場しない(もしくは存在しない)謎の車両であった。ただ、搭載されていた砲や機動力から推察される戦闘力はそれ程高いものではなく、東部戦線などの実戦場に投入されていたとしても戦局全体に与える影響は限定的であったと考えられる。そういった意味では人型重機などと比べてこの「マーダー」は遥かに「普通」の兵器であったと言える。